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世界で一番やさしい「考え方の教科書」

榊巻 亮さんの世界で一番やさしいシリーズ最新作

世界で一番やさしい「考え方の教科書」

 

上司や先輩から「もっと考えなきゃダメだねー」「考えが浅い」とか言われたことはないでしょうか?

今の世の中、直接こんなダメ出ししてくる上司も少なくなってるかもしれませんが、

周りの人と比較して自分でこう感じる人は結構いるんじゃないでしょうか

 

私も医師として働いていますが、周りには良い意味で化け物じみたデキる人がしばしばいて

どうやったらそんな考え方ができるんだろう、自分もそうなりたいなー、なんて思ってました

 

本書は「考える力を身につけるレシピ」を教えてくれる本です。

そのレシピの一部をご紹介します。

 

考え方の循環サイクル

①認知する:事象を正確にとらえる

②思考する:道筋、整理、深める

③行動する:思考の行き詰まりを突破する

 

 

洞察する

 

考え方の全体像です。

認知、思考、行動の3つをぐるぐる回す循環が大事のようです

そこと並行する形で「洞察」があります

考える=思考する、と思いがちですが、その前後、認知、行動まで含んでる点が面白いと感じました。

それぞれ、もう少し理解を深めていきます。

なお、ちゃんと考えたいな、と考えているときは、考える対象の中に他の誰かがいることがほとんどです。なので、相手がいることを前提としておきます。

 

①認知する

Q . なぜ認知が大事か?

A. これができないと会話にならない。お互い思いちがいが生じる。

 

認知するものは大きく3つ

・言葉

・状況

・意図

 

・言葉

あやふやな単語、文章をそのままにしない

そのまま聞く、書く訓練をする

 

・状況

主語と目的語を明らかにする

事実と思いを切り分ける

具体的にイメージできるようにする

 

・意図

自分の言葉で確認する

自分の主張は一旦忘れ、相手が何を主張したいか探る

 

②思考する

思考の4ステップ

①問いを書き出す

②考えるべきことに順序をつける

③問いに対する答えを出す

④「具体的には?」「なぜ?」で深める

 

具体的には? → 解像度を上げる

なぜ? → 論理を通す

 

③行動する

思考している中で、堂々巡りになったり、足踏み状態になったら

その行き詰まりを突破するために行動が必要

・話す

・集める:情報収集、ヒアリング

・休む

 

洞察する

洞察するとは何か?

思考は、ゴールを目指すためのものであるなら

洞察は、「気づき」を増やして思考に深みをつける

 

ここから何が言えるか?何が言えないか?

といった洞察のための定番の問いが本書ではまとめられています

 

皮膚の扁平上皮癌

NEJM 「Squamous-Cell Carcinoma of the Skin」

2023/6/15 review

 

参考文献

N Engl J Med 2023; 388:2262-2273

 

① 疫学と臨床症状

・全ての皮膚がんの20%を占める

・発生率は増加している

・どの皮膚でも発症しうる

・出血性病変は日光暴露部位に多い

 

② リスクファクター

・紫外線への曝露

・年齢

・免疫抑制;臓器移植、HIV、慢性リンパ性白血病、リンパ腫、免疫抑制療法

・遺伝子

・慢性炎症;熱傷、慢性潰瘍、炎症性皮膚疾患

・喫煙

甲状腺機能低下症

・薬剤;ボリコナゾール、ヒドロクロロチアジドなど

・HPV

 

④ 治療

・手術

放射線治療

・化学療法

- 従来の化学療法

 シスプラチン、カルボプラチン

- 免疫チェックポイント阻害薬

 抗PD-1抗体;セミプリマブ、ペンブロリズマブ

- 分子標的薬

 抗ヒトEGFRモノクローナル抗体セツキシマブ

 

傾向スコアマッチング後のアウトカム比較

アウトカムが

2値のカテゴリー変数ならカイ二乗検定 or Fisherの正確確率検定

連続変数で正規分布に従えばt検定、従わなければMann-Whtney U検定

 

ロジスティック回帰でオッズひを計算する場合は、

条件付きロジスティック回帰 conditional logistic regression

一般化推定方程式 generalized estimating equation

を用いてペアを考慮したロジスティック回帰を行う

 

ペアを考慮することがどれほど重要かはコントロバーシャル

随伴症状の乏しい嘔吐

嘔気嘔吐の鑑別はめちゃ多い

重篤な疾患(ACSDKAなど)から軽症疾患(胃腸炎など)まで色々

 

随伴症状は鑑別を絞るのに役立つが、

随伴症状が乏しい場合は以下を考える

 

・薬剤

・内分泌疾患

・妊娠

 

・薬剤

ジギタリス、テオフィリン、NSAIDs、鉄剤、SSRI、プレガバリンなど

 

・内分泌疾患

高Ca血症、DKA、副腎不全

 

高齢者は、痛みのはっきりしない胆石や、腎盂腎炎も

冠動脈リスクの高い人はACS

 

他にも色々と見逃せない疾患はあり、実際の臨床では悩ましい症例も多いですね

 

 

参考文献

プライマリ・ケア 外来診断 目利き術50 南山堂

 

Sweet病

Lancet 

jun 4, 2022

Clinical Picture

 

Sweet's syndrome and Crohn's disease diagnosed simultaneously

 

クローン病とSweet病という珍しい組み合わせのイメージ症例でした

 

 

ということでSweet病の再勉強・・・

 

Sweet病の病態は非常に複雑かつ完全には解明されていない

 

何らかの背景疾患や刺激をもとに

炎症の活性化が生じ

好中球が真皮への浸潤

 

これがざっくりとした病態

 

診断基準

主所見

急激に発症する有痛性紅斑性局面 or 結節

・白血球破砕性血管炎を伴わない真皮への好中球浸潤

副所見

・38℃以上の発熱

血液系or固形癌、妊娠、先行感染(上気道、消化管)、ワクチン後などの背景

ステロイド or ヨウ化カリウムが効く

炎症所見:ESR > 20, CRP上昇, WBC > 8000(Neu >  70%)