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急性腎障害 Lancet Review

 

Lancetより「Acute kidney injury」

2024年1月
DOI: 10.1016/S0140-6736(24)02385-7

 

AKIについて病態、診断、治療まで最新の知見をもとに解説されています。

その中から抜粋してご紹介します。

 

原因


敗⾎症関連 AKI

・最も頻度が高い
・敗⾎症患者の約 70%で AKI が発⽣する。
・敗血症による直接腎障害、敗⾎症関連因⼦が影響する場合の2通り
・病態:炎症、微小循環、内皮障害、補体、RAASなど複雑に関与
・治療:感染制御、⾎⾏動態/体液の管理、腎毒性因⼦の回避


術後 AKI

・⾮⼼臓⼿術では約 15%、⼼臓⼿術では 30‒40%の患者が AKI を発症。
・定義:⼿術後 7 ⽇以内に KDIGO AKI 基準を満たす場合
・術前、術中の低血圧回避が重要
・2024年秋までは術前のRAAS阻害薬中止が推奨
・一方で、Stop-or-Not試験(2222人のRAAS阻害薬を少なくとも3か月間使用し、主要な非心臓手術を受ける予定の患者を対象としたRCT)では、RAAS阻害薬を手術前に継続しても、中止した場合と比べて術後AKIのリスクが増加しないことが示されている
アメリカ糖尿病学会は、重症患者や長期間の絶食、手術中にはSGLT2阻害薬の使用を避けるよう推奨している


薬剤関連 AKI

• ⼊院患者の AKI の 19‒26%が薬剤関連。
• 4つのカテゴリー
 - dysfunction without damage:eg, RAAS i
 - damage without dysfunction:eg, バンコマイシン
 - both dysfunction and damage:eg, NSAIDs
 - neither dysfunction nor damage:eg, トリメトプリム

⼼不全関連 AKI

・心腎症候群:一方の臓器障害が他方の臓器障害を引き起こす状態

・病態:有効循環血漿量の減少、腎静脈うっ血、交感神経系やRAAS系亢進など

・うっ血解除の際、Cr上昇がよく起こるが、体液過剰患者においては利尿剤を継続することは、腎障害を引き起こすことなく、死亡率の低下や再入院リスクの低下と関連すると報告する研究がある。


肝疾患関連 AKI

・肝腎症候群(HRS)は、腹水を伴う肝硬変患者に特有な腎障害

・2023にADQIとICAの専門家らが、HRS関連AKIの診断基準変更を提案
 - 以下の条件を満たす患者で考慮:肝硬変、腹水、AKI、血管内容量が適切で他の原因なし
 - 診断のためのアルブミン投与の必須要件が撤廃された
 - 輸液組成による反応評価は24時間以内とすべき

・治療
 - テルリプレシン(バソプレシン合成アナログ)とアルブミン併用
 - メタアナリスではテルリプリシンとノルアドレナリンに差がないと報告


妊娠関連 AKI

・⼦癇前症、敗⾎症、出⾎に関連
・妊娠に伴う腎血流増加の影響で、妊娠週数が進むにつれ血清Crが自然低下し、診断がマスクされうる。
・Crが基準値以上の患者は経時的なモニタリングが必要

 


管理:腎代替療法(RRT)以外

1. 薬剤管理

・腎毒性薬剤(例:NSAIDs、アミノグリコシド)は可能な限り使⽤を避ける。
・使⽤が必要な場合、治療薬モニタリング(TDM)を⾏い、適切な投与量を確保。
・RAAS 阻害薬:低⾎圧や⾼カリウム⾎症がない限り、多くの場合継続可能。
・⼼腎症候群患者では、RAAS 阻害薬が腎機能を維持する可能性がある。
・腎排泄型薬剤の調整


2. 体液管理

• 正常な体液量を維持し腎灌流を改善。
• 使⽤する輸液の種類:緩衝液晶輸液(Buffered crystalloids)
アルブミン:敗⾎症における重度 AKI リスクの軽減効果は限定的だが、⼤量腹⽔穿刺や⾃然発症性細菌性腹膜炎、肝腎症候群には有⽤。
・合成コロイド(Synthetic colloids):AKI リスクを増加させるため使⽤を避ける。
・利尿剤:体液過剰管理のためにループ利尿剤を使⽤。AKI そのものを治療する効果はない。


3. ⾎⾏動態の最適化

・⾎圧を腎⾃動調節の閾値以上に維持し、腎灌流を確保。
・平均動脈圧65 mmHg 以上を推奨。
・⾎管拡張が原因の場合、昇圧薬(例:ノルアドレナリン)を使⽤。
・⼼拍出量の改善
・収縮機能低下時には強⼼薬(例:ドブタミン)を使⽤。
・⾼⾎圧の既往がある患者では、より⾼い MAP ⽬標が適する場合がある。


4. 合併症管理

カリウム⾎症
・軽度の場合は⾷事制限やカリウム排泄促進薬を使⽤。
・重度の場合はカルシウム製剤、インスリン、β2 刺激薬を使⽤。
・除細動が必要な場合は迅速な治療を⾏う。

代謝性アシドーシス
・軽度の場合は補正不要。
・重度の場合、炭酸⽔素ナトリウムを使⽤して pH を調整。

貧⾎
・ヘモグロビン⽬標値は 75g/L 以上を維持。
・⾚⾎球輸⾎の適応を慎重に判断。

出⾎リスク
・AKI では⾎⼩板機能不全が発⽣する可能性があり、重⼤な出⾎リスクに対処する。

栄養管理
・カロリーとタンパク質摂取
・AKI 患者には⼊院患者全般と同様の栄養計画を推奨。
・⾼タンパク質摂取は、重症患者では死亡率を増加させる可能性があるため注意が必要。

電解質およびミネラル管理
・⾼カリウム⾎症、⾼リン⾎症、ナトリウム異常の管理を⾏う。
・透析中の患者には微量栄養素の補給を推奨。


代替療法 (RRT)

1. 適応と開始のタイミング

絶対的適応

・⾼カリウム⾎症:薬物治療で管理できない場合。
代謝性アシドーシス:治療抵抗性で⽣命を脅かす場合。
・体液過剰:肺⽔腫を伴い、循環および呼吸が妨害される場合。
・尿毒症合併症:意識障害、出⾎傾向、⼼膜炎など。

 

相対的適応

定義が明確でなく、病状の進⾏に応じて判断される。
 例:進⾏性の腎機能低下により⾮腎臓器障害が⽣じた場合。

 

RCT によるエビデンス
・最近の RCT(ELAIN、AKIKI、IDEAL-ICU、STARRT-AKI など)で、早期開始と遅延開始を⽐較。
・緊急適応がない場合、RRT の遅延開始は RRT 使⽤率を約 40%削減。
・ただし、特定の状況では早期開始が有益な場合あり(ELAIN :外科患者で有効性が⽰唆)
・AKIKI-2 試験:BUN140mg/dL 以上、72 時間以上の乏尿での RRT 遅延は、60 ⽇死亡率を増加させる可能性。

 

2. モダリティ

連続 RRT(CRRT: Continuous Renal Replacement Therapy)

持続的に⾎液を処理。
適応:重篤な⾎⾏動態不安定患者や急性脳障害を有する患者。
利点:⾎⾏動態への影響が少ない。⽔分除去や代謝産物の除去を緩やかに⾏える。
⽋点:⾼いリソースと専⾨知識が必要。

 

間⽋的⾎液透析(IHD: Intermittent Hemodialysis)

短時間で集中的に⾎液を処理。
適応:⾎⾏動態が安定した患者。
利点:短期間で効率的に毒素を除去。
⽋点:⾎圧低下や脳浮腫のリスク。

 

持続的間⽋的⾎液透析(PIRRT: Prolonged Intermittent Renal Replacement Therapy)

特徴:IHD と CRRT の中間的な治療法。1 ⽇ 6‒12 時間の透析を数⽇間にわたり実施。

 

急性腹膜透析(Acute Peritoneal Dialysis)

腹膜を透析膜として使⽤。
適応:リソースが限られた環境や⼩児患者。
利点:機材や専⾨知識が少ない環境で利⽤可能。
⽋点:感染リスクが⾼い。

 

3. 中⽌の基準

中⽌の⽬安
・1 ⽇ 500mL 以上の⾃然尿量。
・利尿剤を使⽤した場合、2.4L 以上の尿量が広く認められる基準。
・腎バイオマーカー:中⽌のタイミングを判断するための有⽤性が研究中。

 

 

COVID-19 Clin Microbiol Rev Review

 

Clinical Microbiology Reviewsより「COVID-19 therapeutics」

Published May, 2024
DOI: 10.1128/cmr.00119-23

 

Clinical Microbiology Reviewsはアメリ微生物学会が発行している雑誌です。

臨床微生物学および感染症分野におけるReview論文が主に掲載されています。

この論文では、COVID-19の治療に関して、RCTがまとめられています。

各薬ごとに、入院と外来でのエビデンスに分けて整理され、とてもわかりやすいです。

その中から、抗ウイルス薬についてまとめて紹介します。

 

⼩分⼦抗ウイルス薬 (Small-Molecule Antivirals)

⼩分⼦抗ウイルス薬は、COVID-19 治療の中⼼的役割を果たします
これらは主に SARS-CoV-2 の複製プロセスを標的とし、感染初期段階での効果が期待されています。

以下に、3 つの主要な薬剤であるレムデシビル、ニルマトレルビル/リトナビル、モルヌピラビ
ルについて説明します。


1. レムデシビル(Remdesivir)

作⽤機序

RNA 依存性 RNA ポリメラーゼ(RdRp)を阻害する核酸アナログ。
• 細胞内でプロドラッグ(不活性状態)から活性型(レムデシビル三リン酸: GS-443902)に変換され、ウイルス RNA 鎖の合成を停⽌させる。
SARS-CoV、MERS-CoVSARS-CoV-2 を含む複数のコロナウイルスに対して⾼い活性を⽰す。


臨床試験結果

◼︎ ⼊院患者

1. ACTT-1試験

  • デザイン: プラセボ対照試験

  • 対象: 下気道感染の証拠があるCOVID-19入院患者1,062名

  • 結果:

    • 死亡率:

      • 15日目: レムデシビル群6.7%、プラセボ群11.9%

      • 29日目: レムデシビル群11.4%、プラセボ群15.2%

    • 回復までの時間:

      • レムデシビル群10日、プラセボ群15日(P < 0.001)

2. 中国のRCT

  • デザイン: 多施設共同、二重盲検、研究者主導

  • 対象: 入院患者237名

  • 結果:

    • 症状発現から10日以内にレムデシビルを投与された患者は、プラセボ群より臨床改善が早かったが、統計的有意性は認められなかった。

3. GS-US-540–5774試験

  • デザイン: オープンラベルRCT

  • 対象: 人工呼吸を必要としない未接種患者397名

  • 結果:

    • 5日間コースと10日間コースの間で14日目の改善に差は見られなかった。

4. GS-US-540–5774の追跡試験

  • デザイン: 追跡RCT

  • 対象: 未接種患者584名

  • 結果:

    • 10日間または5日間のレムデシビル投与は、11日目の臨床状態においてプラセボと比較して有意な改善を示さなかった。

5. DisCoVeRy試験

  • デザイン: オープンラベル、多施設RCT

  • 対象: 未接種患者857名

  • 結果:

    • 症状発現後7日以上経過し酸素療法を必要とする患者において、レムデシビルの臨床的な利益は認められなかった。

    • ウイルス除去までの時間は中央値で0.7日短縮。

6. RECOVERY試験

  • デザイン: RCT

  • 対象: 入院COVID-19患者

  • 結果:

    • 人工呼吸管理を受けている患者に対するレムデシビルの有意な効果は認められなかった。

    • 他の入院患者では、死亡または人工呼吸への進行(またはその両方)を防ぐ上で小さな効果が見られた。

7. WHO Solidarity試験

  • デザイン: RCT

  • 対象: 35か国からの未接種患者14,304名

  • 結果:

    • 人工呼吸を受けている患者に対してレムデシビルの有意な効果は認められなかった。

    • 他の入院患者では、死亡率(11.9%対13.5%)や人工呼吸への進行(14.1%対15.7%)を防ぐ上でわずかな効果が見られた。

 

治療に関する補足情報

  • 標準的な投与法:

    • 1日目: 200 mg負荷投与

    • 2~5日目: 100 mg/日(合計5日間)

  • 特殊状況:

    • 非侵襲的人工呼吸を受けている患者には、免疫調節薬との併用が有益。

    • 人工呼吸またはECMOを必要とする患者には、抗ウイルス療法を10日間に延長。

    • 高度な免疫抑制状態の患者では、さらに長期の治療が必要な場合あり。

  • 費用対効果:

    • 各国の支払い意欲の閾値の約8%~23%に相当。


◼︎ 外来患者

PINETREE試験

  • デザイン: プラセボ対照試験
  • 対象:
    • COVID-19外来患者562名
    • 症状発現から7日以内
    • 少なくとも1つの疾患進行リスク因子を有する患者(例:
      • 年齢60歳以上
      • 肥満
      • 糖尿病
      • 高血圧
      • 慢性臓器疾患
      • がん
      • 免疫不全)
  • 介入:
    • レムデシビルを3日間投与
      • 1日目: 200 mg
      • 2日目・3日目: 100 mg
  • 結果:
    • 入院リスクの低下:
    • HR 0.13 (95%CI 0.03-0.59)
  • 課題と限界:
    • 外来患者における毎日の点滴投与は後方支援的に困難が多い
    • 高い免疫を有する患者(過去の感染、ワクチン接種、またはその両方)の場合の効果は不明
    • 高度免疫抑制患者には3日間を超える治療が必要となる場合あり

 


2. ニルマトレルビル/リトナビル(Nirmatrelvir/Ritonavir)

作⽤機序

SARS-CoV-2 主要プロテアーゼ(Mpro)を阻害。
• リトナビルが CYP3A4 を阻害することで、ニルマトレルビルの代謝を遅らせ、⾎中濃度を維持。
SARS-CoV-2 の複製サイクルを直接阻害し、オミクロン株などの変異株にも効果が持続。


臨床試験結果


◼︎ 外来患者

 

1. EPIC-HR試験(NCT04960202)

  • デザイン: プラセボ対照RCT
  • 対象: 高リスク患者(例: 高齢、肥満、糖尿病など)
  • 介入: ニルマトレルビル/リトナビル 300/100 mgを1日2回5日間、発症3日以内に投与
  • 結果:
    • 28日間の入院率:
      • ニルマトレルビル/リトナビル群で有意に低下
    • 主に未接種者を対象とし、デルタ株の流行時に実施

 

2. EPIC-SR試験(NCT05011513)

  • デザイン: プラセボ対照RCT
  • 対象: 標準リスク患者
  • 介入: 同上
  • 結果:
    • 28日間の入院率:
      • ニルマトレルビル/リトナビル群で効果は認められず
    • 一部オミクロンBA.1株の流行時に実施

 

3. EPIC-PEDS試験(進行中)

  • デザイン: 第2/3相小児RCT
  • 対象: 6~18歳の140名
  • 介入: ニルマトレルビル300 mgと150 mgを比較
  • 目的: 小児における体重調整型製剤の評価
  • 進行状況: 結果は未発表

 

4. NCT05438602試験(進行中)

  • デザイン: 三重盲検RCT
  • 対象: 免疫抑制患者
  • 介入: ニルマトレルビル/リトナビルを5日間、10日間、または15日間投与し、24週間追跡
  • 目的: 免疫抑制患者における最適な治療期間の評価
  • 進行状況: 結果は未発表

 

5. レトロスペクティブ研究

  • デザイン: 医療システムの診療記録レジストリを基にした研究(ランダム化試験を模倣)
  • 対象: ワクチン接種の有無や感染歴の異なる患者
  • 結果:
    • 入院または30日間の死亡リスク(相対リスク減少, ARR):
      • 未接種者: 1.83%
      • ワクチン接種者: 1.27%
      • ブースター接種者: 1.05%
      • 初感染者: 1.36%
      • 再感染者: 0.79%
  • 意義: ワクチン接種時代では治療の必要人数が多く、費用対効果が課題

 

6. 妊婦を対象とした後ろ向き比較研究

  • 対象: 妊婦211名(SARS-CoV-2オミクロン株感染患者)
  • 結果:
    • 28日間の母体罹患率・死亡率: 減少
    • 早産率: 減少
    • 28日間のCOVID-19関連入院率: 影響なし

 

補足情報

  • 用量と推奨:
    • 標準用量:
      • ニルマトレルビル300 mg(150 mg×2錠)+リトナビル100 mg(100 mg×1錠)を1日2回、5日間投与
    • 中等度の腎機能障害(eGFR 30~<60 mL/min):
      • ニルマトレルビル150 mg(150 mg×1錠)+リトナビル100 mg(100 mg×1錠)を1日2回、5日間投与
    • 重度の腎機能障害(eGFR <30 mL/min):
      • 推奨はないが、透析後に調整された投与が推奨される場合あり
  • 免疫抑制患者への使用:
    • 課題: リトナビルと免疫抑制薬の相互作用のリスク
    • 対応: 薬物相互作用に注意しつつ慎重に使用
  • 費用対効果:
    • アメリカでは、1品質調整生存年(QALY)あたり$8,931と推定

 

◼︎ 入院患者

 

1. 中国の多施設共同オープンラベルRCT

  • デザイン: 多施設共同オープンラベルRCT
  • 対象: 入院した成人患者264名
  • 介入:
    • ニルマトレルビル300 mg+リトナビル100 mgを12時間ごと5日間+標準治療
    • 対照群: 標準治療のみ(レムデシビルは含まれない)
  • 結果:
    • 28日間の全死因死亡率: 両群間に有意差なし
    • SARS-CoV-2 RNAリアランス期間:
      • ニルマトレルビル/リトナビル+標準治療群: 平均10日
      • 標準治療群: 平均10.5日
    • 治療期間中の有害事象発生率: 両群間に有意差なし

 

2. EPIC-HOS試験(NCT05545319)

  • デザイン: プラセボ対照RCT
  • 対象: 入院した免疫抑制患者
  • 介入: ニルマトレルビル/リトナビル vs プラセボ
  • 進行状況:「運営上の実現可能性」の理由により2023年3月に試験中止
  • 結果: 未発表


3. モルヌピラビル(Molnupiravir)


作⽤機序

・細胞内でNHC三リン酸に代謝され、ウイルスRNAポリメラーゼ(RdRp)を標的。
・ウイルスRNAに「致死的変異(エラーカタストロフィー)」を引き起こし複製を阻害。


臨床試験結果

◼︎ 外来患者

 

1. MOVe-OUT試験

  • デザイン: プラセボ対照RCT
  • 対象:
    • 軽度から中等度のCOVID-19を持つ未接種の外来成人
    • 症状発現から5日以内
    • 重症化リスク因子を少なくとも1つ有する患者
  • サンプル数: 1,433名
  • 結果:
    • 29日目までの入院または死亡率: 有意に低下
      • モルヌピラビル群: 6.8%(709人中48人)
      • プラセボ群: 9.7%(699人中68人)
      • 差: −3.0ポイント(95% CI, −5.9~−0.1)
    • 死亡例:
    • 途中解析後のデータ:
      • モルヌピラビルが入院を35%増加させる結果も示唆。
    • 免疫抑制患者サブグループ:
      • 入院または死亡率はモルヌピラビル群8.3%、プラセボ群22.6%(対象数が少なく結論困難)。

 

2. インドにおけるAurobindo社の試験(CTRI/2021/07/034588)

  • デザイン: プラセボ対照RCT
  • 対象: 中等度COVID-19患者1,220名
  • 結果:
    • 入院率: 両群で0例(有意差なし)。
    • 臨床的改善とウイルスクリアランス: モルヌピラビル群で早まる傾向。

 

3. AGILE-CST-2試験(NCT04746183, イギリス)

  • デザイン: プラセボ対照、研究者主導RCT
  • 対象: 外来COVID-19患者
  • 結果:
    • ウイルスクリアランス期間: モルヌピラビル群で短縮。
    • 入院率: モルヌピラビル群0例、プラセボ群4例(有意差なし)。

 

4. PANORAMIC試験(ISRCTN30448031, イギリス)

  • デザイン: RCT
  • 対象: ワクチン接種済みの外来COVID-19患者
  • サンプル数: 25,783名
  • 結果:
    • 29日目までの入院または死亡率:
      • 両群で0.8%(有意差なし)。
    • 結果の影響: 欧州医薬品庁(EMA)が承認を撤回、Merckが申請を取り下げ。

 

5. その他の試験結果・データ

  • 免疫抑制患者を対象とした試験:
    • モルヌピラビルは入院率を減少させる可能性があるが、対象数が少なく明確な結論は困難。
  • 大規模医療記録レジストリを基にした研究:
    • オミクロン流行期に入院予防効果を示唆する結果もあるが、単剤治療の信頼性は低下傾向。

 

◼︎ 入院患者

 

1. MOVe-IN試験

  • デザイン: RCT
  • 対象: アルファ株流行期に入院した未接種の患者304名
  • 目的: モルヌピラビルの有効性評価(29日間の全死因死亡率、持続的回復、SARS-CoV-2ウイルス量の改善)
  • 結果:
    • 29日間の全死因死亡率: 有意な低下なし
    • 持続的回復: 改善なし
    • ウイルス量: 減少なし
    • モルヌピラビル群で若干高い死亡率が観察され、倫理委員会の判断により試験中止
  • 結論: 入院患者におけるモルヌピラビルの有効性は確認されず。

 

2. オミクロン流行期の模擬RCT

  • デザイン: 模擬RCT(emulated RCT)
  • 対象: 入院後5日以内にモルヌピラビルまたはニルマトレルビル/リトナビルの治療を開始したCOVID-19患者
  • 目的: 経口薬の28日間の全死因死亡率および重症化進行への影響を評価
  • 結果:
    • 28日間の全死因死亡率: 低下が推測された(詳細な数値は報告なし)
    • 人工呼吸器使用やICU入室への進行: 抑制効果なし
    • 統計的限界により結果の信頼性に課題があると指摘。
  • 結論: 経口薬が死亡率低下に寄与する可能性があるが、重症化進行への効果や統計的信頼性に課題が残る。

 

 

HFpEF Review NEJM

 

NEJMの総説「Heart Failure with Preserved Ejection Fraction」

Published Jan, 2025
DOI: 10.1056/NEJMcp2305181

 

NEJMから、HFpEFの総説を紹介します。

近年の重要な試験やガイドラインについて整理されています。

また、高血圧や心房細動など併存疾患に対する治療が基本となることも強調されています。

その中から、治療についてまとめました。

 

治療の⽬標

・駆出率保持型⼼不全(HFpEF)の治療⽬標は、⼼不全の徴候と症状に対応し、QOLを改善し、⼊院リスクを軽減すること
・死亡率を有意に低下させる治療はない。
・多くの試験はEF 40-45%以上の患者を対象。EF 50%以上に特化した結論を導くのは困難。

 

基礎疾患および併存疾患の治療

・併存疾患(HT、Af、DM、呼吸器疾患、虚⾎性⼼疾患、弁膜症、肥満など)の治療は、HFpEF 患者の治療戦略の基盤である。

 

薬物療法

レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬

• HFpEF における RAS 阻害薬の有効性は多くの試験で検討されてきた。
• RAS 阻害薬に関する試験では、HFpEF への有意な有益性は確認されていない。


CHARM‒Preserved trial;RCT, 2003, Lancet
 - カンデサルタンで複合アウトカム(⼼⾎管死, 心不全入院)減らず(HR 0.89, 95%CI 0.77‒1.03)
 - ⼼不全⼊院(secondary)はカンデサルタンで有意に低下


• I-PRESERVE trial;RCT, 2012, Circ Heart Fail
 - イルベサルタンでMLHFQ(ミネソタ心不全生活の質質問票)の改善なし(HR 0.95、95%CI 0.86‒1.05)


• PEP-CHF trial;RCT, 2006, Eur Heart J
 - ペリンドプリルは死亡または⼼不全⼊院を減らさず (HR 0.92, 95%CI 0.70‒1.21)
 - 1 年時点での⼼不全⼊院はペリンドプリルで低下(HR 0.63, 95%CI 0.41‒0.97)



アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(ARNI)

・ PARAGON-HF trial, RCT, 2019, NEJM
 - EF 45%以上の⼼不全患者 4822 名に使⽤した試験。
 - 複合アウトカム(⼼⾎管死, ⼼不全⼊院)は減らず(率比 0.87、95%CI 0.75‒1.01)
 - ⼥性では有益(率⽐ 0.73、95%CI 0.59‒0.90)
 - EF が57%未満では有益(率⽐ 0.78、95%CI 0.64‒0.95)


• PARAGLIDE-HF trial, RCT, Circ Heart Fail
 - ⼼不全増悪後に安定した EF≧40%の466 名を対象
 - vs バルサルタン

 - NT-proBNPが有意に減少
 - EF <60%の患者で効果がより⼤きいが、低⾎圧が増加(OR 1.73、95%CI 1.09‒2.76)


• PARALLAX trial, RCT, JAMA
 - EF≧40%の2572 名を対象とした試験。

 - vs RAS or プラセボ

 - NT-proBNP が有意に減少
 - 6 分間歩⾏距離は改善なし

鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(MRAs)

Aldo-DHF trial, RCT, 2013, JAMA
 - スピロノラクトン 25 mg/⽇を使⽤した第 2 相試験(患者 422 名)。
 - 左室質量とナトリウム利尿ペプチドの低下および拡張機能の改善を⽰した

 - ⼼不全の症状や⽣活の質は改善なし


TOPCAT trial, RCT, 2014, NEJM
 - EF45%以上の HFpEF を対象とした第 3 相試験。
 - ⼼⾎管死、⼼停⽌、⼼不全⼊院の複合アウトカム減らず


FINEARTS-HF trial, 2024, NEJM
 - フィネレノンを使⽤し、最⼤ 40 mg/⽇で治療。
 - ⼼⾎管死と⼼不全イベントの⼀次複合エンドポイントを有意に減少


β 遮断薬


• ネビボロールやカルベジロールを使⽤した試験では、死亡率、⼼不全による⼊院、⽣活の質に改善は⾒られなかった。


利尿薬

• 利尿薬は最近まで HFpEF の唯⼀の推奨薬だったが、ランダム化試験のエビデンスはない。
• 鬱⾎の軽減、症状の緩和、⼼不全⼊院リスクの軽減が⽬的。
• 急性⼼不全患者の約 90%がループ利尿薬を使⽤。
ガイドラインでは、可能な限り低⽤量での使⽤と、正常体液量達成後の中⽌を推奨。
• ⾼⾎圧を伴う患者ではサイアザイド系利尿薬も選択肢となる。


SGLT2 阻害薬


• HFpEFに対するエビデンスは、以下の 2 つの⼤規模試験に基づいている:

 

EMPEROR-Preserved trial, RCT, 2021, NEJM
・エンパグリフロジン 10 mg/⽇を投与。
・⼼⾎管死or⼼不全⼊院(複合アウトカム)を減少(HR 0.79、95%CI 0.69‒0.90)

 

DELIVER trial, RCT, 2022, NEJM
・ダパグリフロジン 10 mg/⽇を投与。
・⼼⾎管死or⼼不全⼊院(複合アウトカム)を減少(HR 0.82, 95%CI 0.73‒0.92)


メタアナリシス
・上記の2試験を統合した結果、⼼⾎管死または⼼不全による⼊院の⼀貫した減少が確認された(HR 0.80、95%CI0.73‒0.87)
・⼀次エンドポイントの減少は⼼不全⼊院の減少によりもたらされ、⼼⾎管死の減少は有意ではなかった


ガイドライン
臨床試験結果に基づき、HFpEF への SGLT2 阻害薬の使⽤を推奨。
・効果の⼤部分は⼼不全⼊院の減少によるものである点を強調している。


GLP-1 受容体作動薬

STEP-HFpEF trial, RCT, 2023, NEJM
・セマグルチド(GLP-1 受容体作動薬)2.4 mg を週 1 回投与。
プラセボと⽐較
・⽣活の質(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire [KCCQ])の改善:セマグルチド 16.6 点 vs プラセボ 8.7 点
・体重減少:平均−13.3% vs −2.6%
・運動耐容能の改善(6 分間歩⾏距離):平均 21.5 m vs 1.2 m
・炎症軽減(CRPの変化率):−43.5% vs −7.3%


STEP-HFpEF DM Trial, RCT, 2024, NEJM

・HFpEF +DMの616名

心不全関連症状の有意な改善

・有意な体重減少

 

SUMMIT trial

・チルゼパチド(GIP および GLP-1 受容体の⻑時間作⽤型作動薬)

・EF≧50%の心不全+肥満の364人

・心血管死または心不全悪化の複合リスクの低下:HR 0.62 95%CI 0.41~0.95
・健康状態の改善:KCCQスコアの変化 群間差が6.9ポイント(95%CI:3.3-10.6)

 

ガイドライン

概要
• HFpEF に対する治療法は国際的なガイドラインで要約されている(表 1 参照)。
• すべての国際ガイドラインで、患者に対する利尿薬治療が推奨されている。


SGLT2 阻害薬の推奨の違い
ガイドライン間での主な違いは、SGLT2 阻害薬の推奨強度にある。
• 推奨の違いは、試験結果の公表時期とガイドラインの発⾏時期との関連を反映している。
• 2023 年の欧州ガイドライン改訂版:SGLT2 をクラス I 推奨「推奨される」


ARNI および MRA の推奨
• ⽶国および⽇本のガイドラインでは、HFpEF 患者に対する ARNI および MRA の使⽤をクラス IIb 推奨「考慮してもよい」


RAS 阻害薬と MRA の使⽤
• カナダのガイドラインでは、RAS 阻害薬および MRA の使⽤が推奨されている。
• ⼀⽅で、欧州⼼臓病学会(ESC)のガイドラインでは、これらの薬剤に関する推奨は⽰されていない。

 

DRESS NEJM Review

NEJMの総説「Drug Reaction with Eosinophilia and Systemic Symptoms」

Published Dec,2024
DOI: 10.1056/NEJMra2204547

 

 

NEJMより、DRESSに関する総説の紹介です。

本文にはDRESSの病態・診断・治療などがまとまっています。

病態の綺麗なイラスト、豊富な皮膚写真がのっており視覚的にも勉強になります。

本文より一部抜粋し、Chat GTP4oを利用して要約しました。

チェックはしていますが、一部誤訳があるかもしれませんので解釈にはご注意ください。

 

DRESSとは

薬剤性過敏症候群(DRESS)は

・薬剤への長期間の曝露後に生じる全身性の症状

・発疹、発熱、様々な臓器障害を呈する

・T細胞を介した重篤な皮膚の有害反応

を特徴とする病気です。

 

DRESS の臨床症状

・発熱、倦怠感、咽頭痛、嚥下困難、掻痒感、⽪膚の灼熱感
体幹や顔⾯から始まる⿇疹様の発疹
・体表⾯積の 50%以上に広がる。
・顔⾯浮腫は特徴的で単純な⿇疹様の薬疹と区別する助けとなる。
・⽪膚病変は多様︔蕁⿇疹様、湿疹様、など
・56%に軽度粘膜炎とびらんを認める
・ほとんどの症例で全⾝性リンパ節腫脹あり
・⼤半の症例は 2〜6 週間の連続投与後に発⽣
・アロプリノールは潜伏期間が長い
・β ラクタム抗菌薬と造影剤は潜伏期間が短い


全⾝性臓器障害

・主な臓器障害は、⾎液、肝臓、腎臓、肺、⼼臓
・36%が 1 つの⽪膚外臓の障害あり
・56%が 2 つ以上の臓器の障害あり


⾎液

・⾎液学的所⾒として、異型リンパ球増加が最も頻繁で早期に⾒られる
好酸球増加は通常後に発⽣し、持続する傾向がある。


肝臓

・肝臓は⽪膚の次に最繁の臓器障害である
・肝酵素上昇は発疹に先⾏することがあり、通常は軽度。
・肝障害の最も⼀般的なパターンは胆汁鬱滞性。


腎臓

・DRESS における腎障害の⼤多数は肝障害を伴う。
・腎障害に関連する薬剤では、バンコマイシンが原因として 13%を占める。他にはアロプリノールや抗けいれん薬の頻度も高い。


・肺障害は、呼吸困難、乾性咳嗽などで現れ、最⼤ 32%に発⽣。
・画像診断では、間質性病変、ARDS、胸⽔が多くみられる。
・合併症として急性間質性肺炎、リンパ球性間質性肺炎、胸膜炎が含まれる。


⼼臓

・⼼筋炎は最⼤ 21%に発生する。
・呼吸苦、胸痛、頻脈、低⾎圧、⼼筋酵素値の上昇、⼼電図変化、⼼エコー異常を⽰す。
・⼼臓 MRI により⼼内膜⼼筋病変を可視化できる場合がある。
・確定診断には⼼筋⽣検が必要。
・肺および⼼臓の障害は DRESS では稀であり、原因薬剤はミノサイクリンが多い。


スコアリングと検査評価

DRESS の診断には信頼性の⾼い欧州 RegiSCAR スコアリングシステムが使⽤される。


RegiSCAR 基準の 7 つの項目︓
• 38.5°Cを超える体温上昇
• 少なくとも 2 か所以上の異なる部位におけるリンパ節腫脹
好酸球増加
• 異型リンパ球増加
• 発疹;体表⾯積の 50%以上、特徴的な形態学的特徴、または組織学的所⾒
• ⽪膚以外の臓器障害
• 解消までの時間が 15 ⽇以上に及ぶこと

このスコアは­4 - 9 点で評価され、解釈は以下の通り
• 2 未満︓疾患がないと判断される
• 2〜3︓疾患の可能性がある
• 4〜5︓疾患が疑われる
• 5 を超える︓DRESS が確定とされる

DRESS の鑑別診断他の重篤な⽪膚有害反応と区別する必要がある。
→ SJS/TEN、急性全⾝性発疹性膿疱症(AGEP)が含まれる


免疫病理学的メカニズム

• 遅延型過敏反応
タイプ IV(遅延型)過敏反応。T 細胞活性化やサイトカイン放出による免疫応答が関与。
• Th2 優位の反応
他の⽪膚有害反応と異なりTh2 型反応が優位、IL-5や TARC(CCL17)が増加。
→ これらは、好酸球増加や HHV-6 再活性化と関連。
• 制御性 T 細胞の役割
制御性 T 細胞数の変動が DRESS の急性期と回復期に観察され、ウイルス再活性化を助⻑する環境を形成する可能性が⽰唆さていれる。
• ウイルス再活性化
HHV-6 の再活性化が DRESS と密接に関連し、発症 2〜3 週間後にピークとなることが多い。サイトメガロウイルスの再活性化は死亡率増加と関連。
• 遺伝的要因
HLA 変異が薬剤反応や DRESS 発症と関連。HLA 検査により⾼リスク患者の特定

 

治療

DRESSの治療に関する統⼀されたガイドラインやコンセンサスは存在せず、推奨事項は観察データと専⾨家の意⾒に基づいている。


原因薬剤の中⽌

• 最も可能性の⾼い原因薬剤を特定し中⽌することが最初で最も重要
• 患者の薬剤チャートを作成;薬剤曝露と発疹、好酸球増加、臓器障害との時間的関係を記録


ステロイド

• 全⾝ステロイド︓DRESS 治療の中⼼であり、寛解誘導と再発の治療に⽤いられる。
・開始⽤量︓プレドニゾン換算で 0.5〜1 mg/kg/⽇。
・漸減:臨床改善が⾒られるまで減量しない。6〜12 週間かけて徐々に減量。
・パルス:1 mg/kg/⽇で効果がない場合、PSL換算で 250 mg/⽇を 3 ⽇間投与後に漸減。


• 局所ステロイド
 軽度の DRESS 患者には⾼⼒価の局所ステロイドで成功した例もあるが、
 全⾝治療を安全に省略できる患者の特定が不明確なため、広く推奨されていない。


ステロイド代替および標的治療

免疫グロブリン静注(IVIG)
• シクロスポリン
• 抗インターロイキン 5 抗体(メポリズマブ、レズリズマブ、ベンラリズマブ)


治療期間

• 治療は個々における疾患の進⾏や治療反応をモニタリングしながら⾏われる。
• DRESS 患者は通常⼊院が必要で、約 25%が集中治療室での治療を受ける。
• ⼊院中は毎⽇の症状評価、⾝体検査、臓器障害や好酸球増加を⽰す検査が必要
・退院後も週 1回の評価が続けられる。
• 再発はステロイド減量中または寛解後に遅れて発⽣することがあり、単⼀の症状や臓器障害として現れる場合があるため、⻑期的なモニタリングが重要である。

 

 

心房細動 JAMA Review

JAMAの総説「Atrial Fibrillation」

Published December, 2024
doi:10.1001/jama.2024.22451

 

 

JAMAに掲載された心房細動に関する総説の紹介です。

本文には、心房細動の全体像がまとまっています。

特に治療については、昨今のリズムコントロールエビデンスを多く取り上げられ、重点的に解説されている印象でした。

AFのStage分類と病態の進展について綺麗にまとめられたFigure、治療アルゴリズムのFigure病態の綺麗なFigure、があり、視覚的にも非常に勉強になります。

その中から一部抜粋し、Chat GTP4oを利用して要約しました。チェックはしていますが、一部誤訳があるかもしれませんので解釈にはご注意ください。

 

臨床症状


・典型的な症状:動悸、胸痛、前失神、運動不耐性、倦怠感など
・AF 患者の約 10- 40%は無症候性
・診断:12誘導心電図 or リズムストリップ(モニターなど)上で30秒以上持続の以下所見
 - ECGで不規則な⼼房活動(細動波)を認める
 - 明確な P 波が⾒られない

・AF の分類
 - 発作性 AF(7 ⽇以内)
 - 持続性 AF(7 ⽇以上持続、または除細動が必要な場合)
 - ⻑期持続性 AF(1 年以上持続)
・新たに発⾒された AF 患者の評価
 - ⼼エコー:構造的評価(弁膜症や左室機能など)
 - 血液検査:血算、代謝パネル、甲状腺機能検査

 


病態⽣理


・AFを引き起こす⼼房異常興奮は、通常、肺静脈と⼼房の接合部から肺静脈内に数センチメートル延びる⼼筋細胞(スリーブ)から発⽣する。

・AF の持続は、⼼房電気⽣理学的、構造的、組織学的変化によるもので、これらが電気的リエントリーと AF の持続を促進する。

・RAA系、肥満、⾃律神経機能障害、⾼⾎圧、弁膜症などはこれらの病態に関連する。


◼ AF の分類
AF のステージは 4 つに分類されており(図 1 参照)、以下のように定義されている。

ステージ 1︓AF のリスク(肥満など)がある状態
ステージ 2︓前駆的⼼房細動(Pre-AF)
 - 左⼼房拡⼤、頻繁な⼼房性異常興奮、持続しない⼼房頻拍など、⼼房病変が存在する
 - 上記あるが、AF と診断されていない状態
ステージ 3︓AFと診断された状態、4つのサブタイプ
 3a︓発作性 AF
 3b︓持続性 AF
 3c︓⻑期持続性 AF 
 3d︓アブレーション成功後の AF
• ステージ 4︓永久的な AF
 - 年齢や AF 持続期間など患者要因に基づき、リズムコントロールを追求しない状態。

 


治療


・全てのStageで⽣活習慣およびリスク因⼦の修正


脳卒中および認知症予防


脳梗塞/⾎栓塞栓症リスク≧2%(CHA2DS2-VASc が男2,⼥3以上)の患者では、OACの利益が⼤出⾎のリスクを上回る。
・OAC は認知症の発⽣率を低下させる。
・中等度から重度のMSや機械弁でない患者では、出⾎リスクが少ない DOACが推奨。
・すべての DOAC は、ワルファリンと⽐較して頭蓋内出⾎のリスクを約半減させる。
・アブレーション後、OAC は少なくとも 3 カ⽉間継続されるべき


レート/リズムコントロール


1. レートコントロール︓⼼室の拍動を遅くする薬剤を⽤いて房室結節の不応期を延⻑する。
2. リズムコントロール︓治療的介⼊により洞調律を回復または維持する。


レートコントロール


・リズムコントロールの恩恵を受ける可能性が低い患者(AAD やカテーテルアブレーションによるリスクが⾼い場合)やステージ 4(永久的な AF)患者には、リズムコントロールを試みずにレートコントロールを⾏う戦略が適切である。
・適切な薬剤
 -  β 遮断薬:メトプロロール、エスモロール、アテノロールなど
 - ⾮ジヒドロピリジン系CCB:ベラパミル、ジルチアゼムなど
ジゴキシン: 以下状況で補助的に使用
 - β 遮断薬やCCBのさらなる投与が低⾎圧で制限される場合
 - ⼼室レートが制御困難な場合
・安静時⼼拍数を 100〜110 拍/分未満に保つよう調整されるべき

 

リズムコントロール


・方法:抗不整脈薬(AAD)、電気的除細動、アブレーション。

・AFFIRM 試験および RACE 試験は、これらの戦略を⽐較し、死亡率や脳卒中を含む臨床的転帰に有意差がないことを⽰した。

・近年の研究では、AF 診断後 1 年以内にリズムコントロール(早期リズムコントロール)を開始することで、⼼不全、脳卒中リスク、死亡率を低下させる効果が報告されている。


薬理的リズムコントロール
・2020 年の EAST-AFNET 4 試験では、AAD またはアブレーションによるリズムコントロールがレートコントロール療法よりも有意に優れていることが報告された。

カテーテルアブレーション

A4 試験 RCT
P:発作性AFを有し、少なくとも1つのAADで効果が不十分だった患者。
I:カテーテルアブレーション。
C:抗不整脈薬治療。
OAF再発。

結果: AF再発なし:アブレーション群89% vs 抗不整脈薬群23%(P<0.0001)。

 

EARLY-AF 試験 RCT
P:症候性の発作性心房細動(AF)を有し、治療歴のない患者
I:カテーテルアブレーション(クライオバルーンを使用)
C:抗不整脈薬(AAD)による治療。
O:AF再発
結果
 心房性頻脈性不整脈の再発率:HR:0.48(95%CI:0.35~0.66, P<0.001)

 

CABANA 試験 RCT
P:症候性AF、65歳以上または65歳未満で1つ以上の脳卒中リスク因子を有する患者。
Iカテーテルアブレーション(n=1108)
C:抗不整脈薬治療(n=1096)
O:死亡、障害を伴う脳卒中重篤な出血、または心停止の複合アウトカム。
結果:ハザード比(HR):0.86(95%CI:0.65-1.15, P=0.30)。有意差なし。


⼼不全におけるアブレーション


・HFとAFの併存は、それぞれ単独の場合と⽐較して死亡率が増加する

・AADはHFrEFを有する AF 患者に対して効果が限定的である
・複数のRCTとメタ解析では、アブレーションがAADよりも優れていることが⽰されている
・CASTLE-AF 試験 RCT
 P:EF 35%以下の⼼不全を有する患者
 I:アブレーション
 C:AAD
 0:死亡または⼼不全による⼊院
 結果:HR 0.62 [95% CI, 0.43–0.87]、アブレーションが有効。
・AF とHFpEFにおけるアブレーションの効果を検討したRCTは少ない。

 

 

慢性静脈不全 NEJM Review

NEJMの総説「Nonsurgical Management of Chronic Venous Insufficiency」

Published December, 2024
N Engl J Med. 2024 Dec 19;391(24):2350-2359.
DOI: 10.1056/NEJMcp2310224

 

 

 

本文には、病態・診断・治療についてまとまっています。病態の綺麗なFigure、症例の下肢写真もあり勉強になります。

その中から一部抜粋し、Chat GTP4oを利用して要約しました。チェックはしていますが、一部誤訳があるかもしれませんので解釈にはご注意ください。

 

疾患概要

静脈不全は、無症状のクモ状静脈や静脈瘤から、静脈性下腿潰瘍に⾄るまでの症状や臨床的徴候の⼀連の現象を含む。

 

疫学と危険因子

  • 有病率:女性最大73%、男性最大56%。
  • 危険因子:高齢、女性、肥満、妊娠、深部静脈血栓症の既往、長時間の立ち仕事。

 

病態生理

  • 静脈逆流・静脈圧の上昇(静脈高血圧)が主要原因。

  • 静脈弁機能不全が静脈逆流を引き起こす。

  • 長期の静脈高血圧により組織劣化・臨床症状発現(浮腫、静脈瘤、皮膚変化、潰瘍)。

  • 機能的原因:ポンプ機能低下、リンパ管機能障害、肥満、OSAS。

  • 微⼩⾎管系糖⾐(グリコカリックス)の発⾒で、濾過は主に⽑細⾎管で発⽣し、再吸収はリンパ管を介してのみ⾏われることが⽰された。
  • 浮腫は、⽑細⾎管の超濾過がリンパ排出を上回る場合やリンパ排出能⼒が低下する場合に、間質空間に体液が蓄積して発⽣する。

 

 

診断と評価

  • 主な評価項目

    • 症状:静脈瘤、浮腫、皮膚の変化、潰瘍。

    • 増悪因子:日中終わり、長時間立位、暑い気候。

    • 軽減因子:脚挙上、歩行。

    • 浮腫評価(Stemmer徴候:リンパ機能障害の指標)。

    • 筋ポンプ機能の評価。

 

  • ドプラー超音波検査

    • 静脈逆流、閉塞、静脈径などを確認。

    • 重要な逆流時間:浅部静脈0.5秒以上、深部静脈1.0秒以上。

 

 

治療方針

保存的管理の 4 つの柱
・中⼼静脈圧の低下
・圧迫療法
・脚の挙上
・ふくらはぎや⾜の屈伸運動を伴う運動

 

薬物療法

  • 利尿薬は浮腫の第⼀選択治療とすべきではなく、容量過剰にのみ使⽤するべき。
  • 必要時にサイアザイド系またはミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を考慮。

 

外科的治療

  • 静脈剥離術、アブレーション、硬化療法。
  • EVRA試験:早期介入が潰瘍治癒短縮に有効

 

偽痛風 Lancet Rheumatology Review

Lancet Rheumatologyの総説「Calcium pyrophosphate deposition disease」

Lancet Rheumatol 2024;6: e791–804
https://doi.org/10.1016/S2665-9913(24)00122-X

 

本文には、分子レベルの病態に関する図、診断のための症状や画像所見、近年の研究をふまえた治療方法について詳しく書かれています。

その中から一部抜粋し、Chat GTP4oを利用して要約しました。チェックはしていますが、一部誤訳があるかもしれませんので解釈にはご注意ください。

 

 

臨床症状


・表現型は以下の3つのカテゴリーに分類される:急性型、慢性型、CPPDと変形性関節症

 

◼︎ 急性型

・発症部位を除いて痛風と区別がつかない。偽痛風と長らく呼ばれてきた。
・単関節, 少関節, 多関節性のいずれもあり
・主に膝関節手首を侵す。
・足首、肘、肩、手の中手指節関節でも発生する可能性がある。
・急性CPP結晶性関節炎の主な誘因
 - 急性疾患(感染症を含む)
 - 外傷
 - 手術
 - 入院
 - 低リン、低マグネシウム血症
 - 慢性腎疾患(ステージ5)
 - 薬剤:ループ利尿薬やサイアザイド、ビスホスホネート、化学療法、PPI、H2受容体拮抗薬など
高齢者に多くみられる。
・認知機能障害による非典型例では、原因不明の炎症やせん妄として現れる場合もある。
・急速かつ自然に改善するとされる一方、症状が3〜4週間続く場合もある。
・軸骨格病変としてcrowned dens syndromeがあり、急性型の約5%を占める。
・crowned dens syndromeは以下特徴
 - 上頸部の急性/亜急性の痛み
 - 頸椎の回旋制限
 - 頸部CTでのcrowned dens
・椎間関節で炎症を引き起こし、脊椎の痛みの原因ともなり得る。

 

◼︎ 慢性型

・持続的炎症性多発関節炎と再発性急性発作の2つの異なる表現型がある。
・手や手首の対称性多発性関節炎として現れ、特に中手指節関節が関与する。
・慢性単関節炎や少関節炎もあり、膝、足首、肩(主に肩鎖関節)が関与する。

 

◼︎ CPPDと変形性関節症

・変形性関節症としては異常な局所化(例:中手指節関節や手首、足首、肩、肘)の構造的損傷(主に関節隙の狭小化)を特徴とする。
・手首や中手指節関節の関与、遠位指節間関節や近位指節間関節の変形性関節症が顕著でない場合、この表現型が示唆される。

 

画像

  1. レントゲン
    ・低コスト、普及性、関節全体を可視化できる点から、第一選択として推奨。
    ・所見は、関節軟骨内の石灰化を意味する軟骨石灰化症(chondrocalcinosis)という概念に依存。
    ・2023年、国際的な専門家グループは、膝関節の組織学的検証に基づき、CPPD特有の軟骨石灰化症に関する放射線学的定義を提案した。
    ・この定義は特異度92%、感度54%。
    ・CPPDを他疾患と区別する所見(部位)
     - 第2/第3中手指節関節
     - 舟状骨-大菱形骨-小菱形骨関節
    X線上で確認できない場合でも、CPPDは除外できない。
  2. 超音波検査
    ・利便性、安全性、直接的な関節評価能力から、専門医がよく用いる。
    ・膝関節や手首において信頼性が確認された
    ・CPPDの同定に対する高い感度(71〜87%)と特異度(68〜88%)
    ・特定の関節で音響窓が制限されること、熟練した技師が必要なことが課題。

  3. CT
    ・CPP沈着物の分布をマッピングできる点が利点である。
    ・crowned dens syndromeや他の症候性沈着物の評価においてCTが推奨される。
    ・末梢CPPDの評価では、コスト、放射線被曝を考慮して、通常は使用されない。
    ・より進んだ技術として、DECT(dual-energy CT)がある。沈着物の分子構成に関する情報を提供し、異なる結晶タイプを識別できる。
    ・DECTの感度はCTを上回らず、空間分解能が低いことやアーティファクトが発生する可能性が課題。

治療

CPPD疾患の管理は、炎症と痛みを制御することに依存しており、CPP結晶を溶解させる治療法は存在しない。

 

急性関節炎

  • 急性CPP結晶性関節炎の治療指針は、長らく痛風発作治療の経験に基づいていた。2011年にEULARは以下を推奨:
    • コルヒチン
    • 全身または関節内のコルチコステロイド
    • NSAIDs(ただし、高齢や併存疾患により禁忌の場合が多い)
  • 2023年COLCHICORT試験
    • オープンラベルRCTで、急性CPP結晶性関節炎患者112人を対象にコルヒチンとプレドニゾロンを比較。
    • 結果:両群で治療反応は同等(24h後疼痛スコアの減少:コルヒチン群–36 mm、PSL群–38 mm)
    • 安全性:
      • コルヒチン群の22%が軽度の下痢を経験(特に高齢者には懸念事項)。
      • プレドニゾロン群では糖尿病患者を含めても副作用は軽微(高血糖3人)。
    • 結論:急性CPP結晶性関節炎の第一選択治療として1日30mgのプレドニゾロンが推奨される。
  • IL-1阻害薬の使用
    • CPP結晶によるNLRP3インフラマソーム活性化とIL-1産生が確認されているため、難治性患者に生物学的製剤(IL-1阻害薬)が考慮される。
    • 二重盲検パイロット試験では、アナキンラとプレドニゾロンのいずれも迅速な疼痛緩和を提供した。

慢性炎症性関節炎

  • 再発性発作または持続性関節炎の治療
    • コルヒチン
      欧州コホート(128人)の研究で、低用量(1mg/日または0.5mg/日)の長期使用が有効であると報告され、30〜50%の患者で症状をコントロール可能。
    • メトトレキサー
      再発性急性および持続性多関節炎の試験では無効と判定
    • ヒドロキシクロロキン
      再発性発作の頻度を減少させる可能性があるが、確認試験は実施されていない。
    • マグネシウム補充
      30mmol/日の補充が疼痛および炎症症状の緩和に効果を示す可能性があるが、大規模試験はない。
    • IL-1阻害薬(アナキンラ)
      炎症マーカーが高い患者において効果が高い可能性があるが、結果は不均一。
    • IL-6経路阻害薬(トシリズマブ)
      難治性CPPDの新たな治療として検討されているが、証拠は限定的(最大11人の症例シリーズ)。