副腎不全 BMJ ガイドラインサマリー
BMJより「Adrenal insufficiency: identification and management—summary of new NICE guidance」
2025年5月
http://doi.org/10.1136/bmj.r330
副腎不全についてNICEガイドライン(2024年)のまとめです。
その中から抜粋してご紹介します。
NICEは英国のガイドラインを作成している機構ですね。
本文のコルチゾール単位は日本と異なります。
150nmol/lは、約5.4μg/dl
300nmol/lは、約10.8μg/dl
推奨事項
診断・評価
• 朝 8〜9 時に採⾎した⾎清コルチゾール値を指標に評価する。
o <150 nmol/L:副腎不全の可能性⾼ → 専⾨医に迅速紹介
o 150〜300 nmol/L:不確実 → 再検査や専⾨医相談を推奨
o >300 nmol/L:副腎不全の可能性低
• 使⽤する免疫測定法によって基準値が異なる場合があるため、地域の検査ガイドラインにも従うこと。
治療薬と指導
• 原発性副腎不全や先天性副腎過形成には、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドを併⽤。
• ⼆次性・三次性の場合はグルココルチコイド単独で管理。
• 診断後、以下を患者と家族に説明・共有する:
o 緊急⽤ステロイドカード
o モバイルアプリ、アラートジュエリー
o 医療費助成、学校・職場での配慮
o 緊急時の⾃⼰注射と医療機関受診の流れ
症状と原因
典型的な症状(数週間〜数ヶ⽉持続するもの)
• ⾷欲低下、体重減少、塩欲、吐き気、嘔吐、下痢
• ⽴ちくらみ、筋⼒低下、倦怠感
• ⼩児では:成⻑不良、低⾎糖、遷延性⻩疸
• ⽪膚の⾊素沈着(特に原発性副腎不全)
リスク因⼦
• ⻑期ステロイド使⽤後の中⽌(成⼈で 4 週以上、⼩児で 3 週以上の使⽤)
• 糖尿病、甲状腺機能低下、⾃⼰免疫性疾患
• 免疫チェックポイント阻害薬や抗真菌薬の使⽤ 歴
注意点
• 倦怠感や下痢などの⾮特異的な症状のみでは、検査の対象とはならない。
• ⽪膚の⾊素沈着や塩欲など、副腎不全に特徴的な所⾒が複数ある場合に検査を考慮する。
初期検査
• 第⼀選択は「朝 8〜9 時の⾎清コルチゾール」
• 確定診断には短時間作⽤型 ACTH 刺激試験やインスリン低⾎糖試験が必要だが、実施
が難しいこともある。
• ⼀般臨床ではまず簡便で費⽤対効果の⾼い朝の⾎清コルチゾールが推奨される。
• 検査対象とならない例:
o ⽣理的量以上の経⼝ステロイドを現在も服⽤中の患者
• 注意点:
o ステロイド筋注後は 4 週間以上空けてから検査
o 乳児(1 歳未満)は、時間にこだわらず採⾎し、⼩児専⾨医の判断を仰ぐ
治療
グルココルチコイド補充
• 成⼈(16 歳以上):
o ヒドロコルチゾン 15〜25mg/⽇(2〜3 回に分けて)
o プレドニゾロン 3〜5mg/⽇、デキサメタゾン 0.5mg/⽇など代替薬もあり
• ⼩児:体表⾯積あたり 8〜10mg/m²/⽇(3〜4 回に分けて)
• 乳児:同様に 8〜10mg/m²/⽇(等分割)
ミネラルコルチコイド補充
• 原発性や CAH の場合に必要(フルドロコルチゾン 50〜300μg/⽇)
• ⾼活動の若年層ではより⾼⽤量が必要な場合も
シックデイルール
• 感染症、外傷、⼿術などのストレス時は、ヒドロコルチゾン 40mg/⽇以上を 2〜4 回に分けて投与
• 嘔吐がある場合は筋注を推奨
• 状態が悪化すれば、即時に救急搬送・⼊院が必要
グルココルチコイド離脱管理
離脱対象者
• ⻑期(成⼈で 4 週、⼩児で 3 週以上)ステロイドを使⽤し、治療⽬的を終えた患者離脱⽅法
• ⽣理的量(例:プレドニゾロン 5mg/⽇)まで減量後:
o 隔⽇投与を 2 週 → 週 2 回投与を 2 週 → 中⽌
• 12 週以上の⻑期使⽤者は、より緩やかな減量が推奨される
投薬の切替
• 成⼈:デキサメタゾン → プレドニゾロン(調整しやすいため)
• ⼩児:プレドニゾロン → ヒドロコルチゾン
